経営戦略

京都観光の強み

想定しているペルソナ群(ターゲット層)における、アジア方面の主要都市訪問率を比較すると、京都は東京に次ぐ高い水準となっており、2人に1人は訪問経験がある。

一方で、再訪希望率は沖縄や上海を下回っており、繰り返し訪れる旅行先としてのブランディングは、さらに高みを目指す余地がある。

出所)京都市観光協会において実施した国内外約5000人に対するアンケート結果

想定しているペルソナ群(ターゲット層)における、アジア主要な旅行先に対するイメージについて分析すると、京都は「季節・風景」「瞑想・哲学」のイメージに比較優位を持っている。

世界遺産に代表されるような桜・紅葉の景観を備えたコンテンツや、海外でも人気の高い「禅宗」の総本山が集まり座禅などの体験ができるエリアとしてのイメージが定着していると考えられ、他都市との差別化が図られている。

出所)京都市観光協会において実施した国内外約5000人に対するアンケート結果

京都観光の弱み

出所)京都市「ビッグデータ等を活用した交通流動実態調査」をもとに京都市観光協会にて集計

日本人観光客と外国人観光客では訪問エリアの分布が異なっていることから、近年の外国人観光客割合増加にともなって、「嵐山」「清水寺」「伏見稲荷」「二条城」「京都国立博物館・三十三間堂」「金閣寺」周辺のエリアへの集中が進んでいる。

出所)京都市「ビッグデータ等を活用した交通流動実態調査」をもとに京都市観光協会にて集計

この結果、一部の時期やエリアにおいて需要が集中し、混雑、マナー等の問題が発生し、これらのイメージが広まることによって、観光に対する市民感情の悪化が問題となっている。

京都観光にとっての機会

『持続可能性・SDGs』という新たな価値観が提唱され、国内においても認知されている。令和元年12月に京都において開催された国連国際観光機関(UNWTO)とUNESCOにおける国際会議において、観光は「文化」と連携しあらゆる社会的課題の解決・SDGsの達成を目指すものとして宣伝がなされており、SDGs達成のために『観光』は不可欠なものとして位置づけられることとなっている。

2020年に予定されていた東京五輪、第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の延期をはじめ、大型イベントの開催スケジュールは見通し不透明なものの、2025年の大阪関西万博まで新たな投資を呼び込むイベントが予定されている。

京都観光にとっての脅威

出典)京都市「京都観光総合調査」(日本人を対象とした街頭アンケート調査であり、修学旅行生は含まれない)

京都を訪れる国内観光客は高齢者が多く、高齢化により市場が拡大する可能性はあるが、これまで京都の国内観光市場を支えてきた団塊世代の引退し、新たに高齢者となる世代が団塊世代と同様に定着する保証は無い。

また、京都市は修学旅行市場のシェア約3割を締めており、長年安定した需要を築いてきたが、これを支える若年人口は少子化により減少する見通しとなっている。

出典)京都市「京都観光総合調査」(日本人を対象とした街頭アンケート調査であり、修学旅行生は含まれない)

訪日リピート率が高い「台湾」「香港」からの京都市内宿泊客数は、他市場と比較するとここ数年成長率が低くなっており、日本には訪れているが京都以外の地方部が選ばれているという状況が続いている。

出所)京都市観光協会データ月報

また、京都を訪問した外国人が同じ訪日期間中に訪れる都市は、東京や大阪などのいわゆるゴールデンルート上の都市が多い一方で、次回訪日時には北海道をはじめとした地方都市への訪問意向が高まることからも、訪日リピーターが京都を選びにくくなる可能性があると考えられる。

出所)京都観光総合調査をもとに京都市観光協会にて集計

市内観光関連企業における景気実感の指標Diffusion Index(増加,上昇などと回答した企業の企業割合から,減少,低下などと回答した企業割合を差し引いた数値)は、新型コロナウィルスの影響を受けて急速に悪化している。

出所)京都市 中小企業経営動向実態調査をもとに作成

出典)京都商工会議所「新型コロナウィルスによる京都経済への影響」に関する緊急調査

京都商工会議所の会員企業436社(京都市内企業含む)に対するアンケート結果によると、新型コロナウィルスの影響を踏まえたBCP(事業継続計画)は過半数が未対応であり、経営の強靭化に向けての課題が浮き彫りとなっている。

出典)京都商工会議所「新型コロナウィルスによる京都経済への影響」に関する緊急調査

SWOT分析

内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)をもとに、前述のビジョンを策定し、ビジョン達成のために、5つの事業領域における戦略(何を優先するか)を以下のとおり整理する。