免税店支援を通じた京都のインバウンド消費拡大策~免税店数9倍増、免税売上額は220億円超に~ <Part2>

UPDATE :
2020. 01. 17

SUMMARY

この記事は、2回に分けて配信する連載記事です。
Part1
・そもそも免税店とは? ~外国人が国外持出のために1店舗で1日5,000円以上購入すれば、消費税が免税に~
・京都ならではのきめ細かな免税店支援サービス

Part2
・京都市内の免税店数は5年間で9倍増
・免税売上は年間220億円に ~中小免税店も売り上げ増~
・新たな転機、免税手続の電子化とは?
・メイドイン京都の伝統産業品を今後も外国人観光客に ~免税店支援を通じた持続可能な観光振興~ 

Part1はコチラ

京都市内の免税店数は5年間で9倍増

全国屈指ともいえる、きめ細かな支援サービスの成果もあり、京都市内の免税店数は、サービス開始時の2014年4月1日時点の178店舗から2019年4月1日現在1,624店と、5年間で9.1倍に増加しました。

また、免税店が増えるに伴い、免税店の情報発信や販促キャンペーンにも力を入れてきました。2015~2017年度にかけ、京都市内の免税店を紹介する多言語パンフレット「KYOTO Tax-free Shopping Book」を発行。現在は、タビマエでも情報収集できるよう、デジタル提供に移行し、京都観光公式ウェブサイト「Kyoto City Official Travel Guide」で免税店情報を発信しています。また、中国の検索エンジン「百度」における店舗情報登録も支援するとともに、Googleの店舗情報表示サービス「Googleマイビジネス」の登録支援にも力を入れています。

Visaとの連携事業では、2015年度は市内免税店を対象に、購入額に応じたウェブ抽選キャンペーンを実施、2016~2018年度は嵯峨・嵐山地域において同じく購入額に応じた抽選イベントを行い、地域の消費喚起策を展開しました。

Visaとの連携事業

免税店紹介パンフレット                     Visaキャンペーン

免税売上は年間220億円に ~中小免税店も売り上げ増~

このような取組もあり、京都市内免税店の年間免税売上額は、2015年調査で約100億円(127店舗計)だったものが、2018年調査では220億円(120店舗計)と、3年間で2.2倍の伸びを示しています(京都市観光協会「免税売上調査」)。特に、百貨店やスーパーを除いた中小店舗の1店舗あたりの免税売上額が2.7倍増となっていることは、京都産の伝統産業品や土産品、京菓子などを販売する中小の小売店に、外国人観光客の消費が浸透していることが裏付けられます。

また、京都市を訪れた外国人観光客一人あたりの買物消費額も、2016年に9,568円であったものが、2018年には16,628円と2年間で73.8%伸びています(京都市「京都観光総合調査」)。

京都市観光協会 免税店売上調査結果について
https://www.kyokanko.or.jp/report/?cat=taxfree

新たな転機、免税手続の電子化とは?

このような中、免税店にとっての新たな転機が、本年4月にスタートする免税手続きの電子化です。現在の免税制度では、購入した物品が記録された紙伝票を購入者のパスポートに貼付することとなっています。免税手続きごとに紙伝票が発行されるため、何度も免税購入した人のパスポートは紙伝票で分厚くなることもあり、また、免税手続の効率化、購入者による税関への提出漏れ防止の観点等から、電子化されるものです。1年半の移行期間は、今まで通りの手続き(購入記録票を発行しパスポートに貼付)も可能ですが、2021年10月1日からは、完全電子化となり、電子化に対応していない店舗は免税販売ができなくなります。

電子化について、もう少し詳しく説明しますと、物品名や個数、金額などの購入記録情報と氏名、国籍、パスポート番号などの購入者の情報を電磁的記録化し、インターネット回線等を通じて、免税手続ごとに国税庁に提出されます。クレジットカード決済で、専用端末にカードを通し、購入額とカード情報がインターネット回線を通じてカード会社へ送信されるのと似たようなものです。この電子化は店舗側と外国人観光客の双方にとって、免税手続の効率化のメリットはありますが、店舗側には、電子化を行うシステム導入や機器購入の費用が発生します。

購入記録伝票で膨らんだ訪日客のパスポート

購入記録伝票で膨らんだ訪日客のパスポート

そこで、京都市観光協会では、免税手続の電子化を見込み、2018年度に電子化に必要な機器の購入も対象となるインバウンド助成金交付制度(経費の2分の1を助成。上限20万円)を設け、市内免税店へ支援を行っております。そして、昨年12月には、電子化対応に関する具体的な手続き方法についてのセミナーを開催したところです(下記及びPart1参照)。

京都産の伝統産業品を今後も外国人観光客に ~免税店支援を通じた持続可能な観光振興~ 

これまで、様々な免税店支援策を展開することにより、免税店舗数が増え、免税売上も着実に増加してきました。そして、今般の免税手続きの電子化は、免税店と外国人観光客の双方にとってメリットがあります。

京都市観光協会では、引き続き、電子化対応支援をはじめとする免税店に対するサポートを通じ、京都産の商品を販売する地域企業へのインバウンド消費の波及、さらには伝統文化の維持や発展につなげてまいります。

 

公益社団法人京都市観光協会 受入環境整備課主任 桒田 扶美

免税手続き電子化に関するセミナー開催概要 ~第22回 観光協会・ビューローインバウンドセミナー~

1 日 時
令和元年12月4日(水)15:45~18:00

2 場 所   
メルパルク京都 6階 貴船

3 内 容 
・「最新の免税店の状況と免税制度改正について」 国土交通省 近畿運輸局
・「消費税免税制度改正・在留資格等に関する免税販売可否ガイドラインについて」
ジャパンショッピングツーリズム協会/全国免税店協会

・「電子化に対応した免税システムを提供する事業者の紹介」
㈱ビジコム(あっと免税)、グローバルブルーティエフエスジャパン㈱(Global Blue)、J&J Tax Free(J-TaxFreeシステム)

4 参加者
京都市内の免税店関係者等 約150名

5 主 催
公益社団法人京都市観光協会、公益財団法人京都文化交流コンベンションビューロー

6 共 催
京都市

7 後 援
京都商工会議所

8 協 力
一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会、日本小売業協会、一般社団法人日本ショッピングセンター協会

本レポートの関連事業