京都市観光協会データ月報(2020年1月)

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2020. 03. 09
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データ月報

調査結果のポイント

春節休暇効果もあり、延べ宿泊客数はと16ヶ月連続で前年同月を超えるものの、 新型コロナウイルスの影響により1月下旬以降は大幅に失速

+7.2%

新型コロナウイルスの影響により、1月27日に中国政府が同国からの外国団体旅行を禁止する旨を通達したこと等により、後述のとおり、中国人宿泊客に大幅な減少が生じているが、1月全体でみれば、その影響は限定的といえる。しかし、新型コロナウイルスの影響は拡大を続けており、2月以降は、中国以外の国・地域の宿泊客にも影響が波及し、市内宿泊客数の大幅な減少が生じているところである。

京都58ホテルにおける2020年1月の延べ宿泊客数は、前年同月比7.2%増となり、2018年10月以降16ヶ月連続で前年同月を上回った。中国の春節休暇が、2019年は2月(2月4日~10日)であったのに対し、2020年は1月(1月24日~30日)となったことなどが影響していると考えられ、事実、外国人客は同18.1%の伸長となった。一方、日本人客は同1.9%減と、4ヶ月連続で前年同月を下回る結果となったが、その減少幅はこの4ヶ月で最も少なく、昨年10月の「台風19号」等の自然災害や消費税増税に伴う旅行需要の低下が落ち着きつつあると推察されるが、1月下旬以降に新たに顕在化した新型コロナウイルスの影響により、日本人客の宿泊需要についても大きな落ち込みが懸念される。

客室稼働率は4ヶ月ぶりに前年同月を上回る

68.8%

3.2 pts

客室稼働率は前年同月よりも3.2ポイント高い68.8%となり、2019年9月以来、4ヶ月ぶりに前年同月を上回った。宿泊施設の新設ラッシュがある程度落ち着き、販売可能客室数の伸びが同2.6%増と微増にとどまったことも、客室稼働率の上昇に影響を与えていると思われる。

外国人比率は1月としての最高値を更新

49.9%

4.6 pts

外国人比率は、前年同月を4.6ポイント上回る49.9%となり、1月としての最高値を更新した。春節休暇や南半球の夏季休暇等を背景に、京都観光のオフシーズンをインバウンド需要が下支えしているといえる。

国・地域別構成比は春節休暇の影響で中国が拡大したものの、新型コロナウイルスの影響で大幅に減速

45.3%

外国人宿泊客数を国・地域別でみると、春節休暇期間の変動等を背景に、中国が前年同月比46.9%増と伸長し、15ヶ月連続での二桁成長を記録した。構成比は45.3%に達し、単一市場としての単月構成比最高値を更新した(これまでの最高値は2019年2月(春節)の中国44.1%)。一方、春節休暇に限った個別ヒアリング(16ホテル)によると、新型コロナウイルスの影響で、春節休暇の後半にあたる1月27日以降、団体客が入ってこなくなったこと等に伴い、中国人宿泊客数は前年の春節と比べ約30%減少し、客室稼働率も約10ポイント下落したとの回答があった。新型コロナウィルスの影響がなければ、中国の1月の宿泊客数はもっと大きく伸びたものと考えられる。

春節休暇を背景に、台湾も前年同月比8.7%増と伸長し、2019年2月(春節)以来11ヶ月ぶりに構成比で2位となった。

アメリカは、前年同月比11.9%増と21ヶ月連続で伸長し、構成比8.9%と、1月においては調査開始から6年連続で3位に入っていたオーストラリア(構成比7.2%)を上回り3位となった。

オーストラリアでは1月が夏休みにあたり、ウィンタースポーツ目的等で訪日需要が高まる特性があるが、前年同月比11.0%減少した。訪日市場全体でも例年より低く同5.0%増に留まったことから、暖冬によるウィンタースポーツ環境の悪化が影響した可能性がある。

イギリスが前年同月比26.5%増、フランスが同45.0%増、ドイツが同47.6%増、スペインが同17.4%増、イタリアが同16.7%増と、中東(同70.9%増)含め二桁成長となっており、これらの市場において冬季の京都の魅力が浸透してきていることが伺える。

韓国は、日韓情勢の悪化等を背景に、2018年8月以降大幅な減少が続いており、前年同月比で52.1%減少した(日本全体は同59.4%減)。

平均客室単価(ADR)が9ヶ月ぶりに前年同月を上回る

+0.8%

京都市観光協会が提携するSTRの調査結果によると、平均客室単価(ADR)は前年同月比0.8%増と、2019年4月以来、9ヶ月ぶりに前年同月を上回った。新規ホテルの開業に伴う客室数の拡大を背景とした価格競争が落ち着いてきた可能性が伺える。一方で、2月以降は新型コロナウイルスの影響により、客室稼働率(OCC)および平均客室単価(ADR)に多大な影響が生じることが予期される。

1月の実績においては、とりわけ、高価格帯のホテルにおいて稼働率が上昇する傾向がみられた。ラグジュアリーホテルの新規開業等に伴い、新たなマーケットが開拓された可能性もあり、また、これらの施設は価格競争の影響を比較的受けにくい側面もあることから、ADR上昇に貢献したとも考えられる。

札幌では、客室稼働率(OCC)と平均客室単価(ADR)が共に低下し、客室収益指数(RevPAR)が前年同月比9.3%減となっている。暖冬の影響でスキーや雪景色を求める訪日客が、例年よりも少なかったことが影響していると考えられる。

春節期間の免税売上は前年の春節と比べ減少

-13.5%

春節休暇が変動したことを背景に、1月免税件数(前年同月比5.8%増)、免税単価(同18.2%)は、ともに増加し、免税売上額は同25.1%増と大きく成長した。

一方、2020年春節の免税売上は、2019年の春節と比較して、免税単価が6.9%増加した一方で、免税件数は19.1%減少し、免税売上額も13.5%の減少となった。新型コロナウイルスの流行に伴い、中国人客が減少したことが大きく影響したと考えられる。

2020年1月以降の日本ー中国間の航空路線便数は半減し、京都観光への影響は必至

-48.2%

新型コロナウィルスの影響で閉鎖された武漢空港を中心に、中国方面の航空路線で減便・運休が相次いでおり、2019年11月頃の運行便数を基準にした場合、2020年1月以降の日中路線の48.2%が運休あるいは運休見込みである。また、関西空港を発着する路線も52.8%減と約半減となっている。なお、3月5日に中国と韓国から日本への入国制限措置が発表されたことから、残りの営業路線も大幅な減便が見込まれるため、京都観光に大きな影響をもたらされることが予想される。

中国以外のその他アジア方面でも10~20%前後の減便となる見込みである。ただし、韓国は日韓関係の悪化、香港は政情不安の影響で、2019年下半期からすでに航空便数が減少し始めていたため、2020年1月以降の影響は小幅に留まっている。

調査内容の拡充および変更

(1) 掲載データの拡充・見直し

ア 観光庁が発表する「宿泊旅行統計調査」に基づき、日本全体における日本人・外国人の宿泊者数を掲載します。

イ 京都市が発表するデータに基づき、京都市内の宿泊施設数の最新数値を掲載します。

ウ 最終ページの「宿泊状況調査結果詳細」において、伸率における販売可能客室数の差異を「調整反映している数値」と「調整していない数値」を併記してきましたが、今月の発表分より「調整していない数値」のみの記載とします(本数値に関する詳細は、当データ月報「2019年1月」を参照)。

(2)  外国人比率 算出手法の改定

従来、「外国人比率」はホテルの稼働状況に占める外国人の割合を確認する観点から、「延べ部屋数」を用いて算出していましたが、今後は、外国人増減の実感をより反映させる観点から、「延べ人数」を用いて算出いたします(出張者のシングルユースなどもある日本人と比べ、外国人の方が一部屋あたりの利用人数が多いため、「延べ人数」ベースの方が、外国人比率が高くなる傾向にあります)。

なお、これまでの算出方法による数値(「延べ部屋数」ベース)についても当分の間、併記いたします。

これまでの算出方法:「延べ部屋数」ベース
当該月に稼働した総延べ部屋数における外国人客が宿泊した部屋数の割合
2020年1月の場合 ~ 外国人利用延べ部屋数115,910室÷総延べ部屋数263,645室=44.0%

今後の算出方法:「延べ人数」ベース
当該月に宿泊した総延べ人数における外国人の割合
2020年1月の場合 ~ 外国人宿泊延べ人数233,919人÷総宿泊延べ人数468,569人=49.9%

調査概要

(1) 全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。

※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載

(2) 対象ホテル

  • 58ホテル 12,647室(2020年1月現在)
    ※京都市内ホテルの客室数ベースで約4割をカバー(京都市観光協会調べ)※前年と本年では対象ホテル数・客室数が異なるため、昨年発表の2019 年1月数値(54ホテル)と今回発表の2020 年1月数値(58 ホテル)は異なる場合がある。なお、対象ホテルにおいては、調査対象月における前年と本年の数値提供を得ている。※P11の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記58ホテルとは対象が一部異なる。

(3) 分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

(4) その他

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。

ただし、P11のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

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