京都市観光協会データ月報(2020年4月)

UPDATE :
2020. 05. 28
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データ月報

調査結果のポイント

新型コロナウイルス感染症の拡大により外国人延べ宿泊客数はほぼ消失

-99.7%

京都市内56ホテルにおける2020年4月の外国人延べ宿泊客数は、前年同月比99.7%減の1,054人泊となった。これは、前月の同89.5%減をさらに超える減少幅である。例年4月は、桜などを目当てに多くの観光客が訪れる”京都観光の繁忙期”であったが、新型コロナウイルス感染症の全世界的な拡大を背景にインバウンド需要が蒸発し、外国人観光客を見かけることがほとんどなくなるという異様な状態が続いている。
多くの国が海外渡航制限や外出禁止の措置を取っており、日本でも査証無効化の対象国を拡大していることから、全ての調査対象国・地域において、延べ宿泊客数が前年同月と比べて1%未満にまで縮小している。
インバウンド需要の激減は全国的な傾向であり、JNTOの調査によると、4月の訪日外客数は前年同月比99.9%減の2,900人と、1964年の統計開始以降最大の減少率を2ヶ月連続で更新すると同時に、単月の訪日外客数としても統計開始以来最小の値を記録した。

日本人延べ宿泊客数も大幅減となり、京都の宿泊需要はほぼ完全に消失

-89.7%

日本人延べ宿泊客数も、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出(東京都、大阪府、兵庫県など7都府県:4月7日~、 京都府を含む全国:4月16日~)などに伴い、前年同月比89.7%減と、未だかつてない減少幅を記録した。
前月(2020年3月)の段階では、前年同月比45.5%減と一定の宿泊需要が残っていた国内市場も、4月に入って激減したことから、日本人と外国人を合わせた総延べ宿泊客数は、同95.7%減と大きく縮小する結果となった。調査開始以来最大の減少幅を記録した前月(同66.3%減)よりも約30ポイント低い記録的な減少幅となり、京都の宿泊需要が、ほとんど消失する極めて深刻な事態が生じている。

客室稼働率は初の一桁台となり、3ヶ月連続で最低値を更新

5.8%

83.8pts

客室稼働率は、前年同月を83.8 ポイント下回る5.8%となった。4 月中旬からは臨時休業するホテルも増加し、販売可能客室数は前年同月よりも16.4%縮小したが、供給の縮小よりも需要がさらに減退する結果となった。前月の客室稼働率は30.3%であったが、今月はこれを20 ポイント超下回っており、3 ヶ月連続で調査開始以来の最低値が更新された。外国人比率も前年同月から55.8 ポイント低い4.2%となり、2014 年の調査開始以来初めての一桁台となった。

客室収益指数(RevPAR)は国内、世界の主要都市も軒並み大幅減収

-96.8%

京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRの調査結果によると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比で92.9%低下するとともに、平均客室単価(ADR)が同54.8%低下したことで、客室収益指数(RevPAR)は同96.8%減と大幅に低下する結果となった。
他の国内主要都市においても、客室収益指数(RevPAR)の低下率は、前年同月から90%を超えている。世界に目を転じても、軒並70%~90%減となっており、そして全世界の観光産業に、新型コロナウイルス感染症による甚大かつ壊滅的な影響がもたらされている。

新型コロナウイルス感染症の影響で免税売上額も激減

-98.1%

新型コロナウイルスの流行に伴う、外国人客の激減および百貨店の臨時休業を背景に、4 月の免税件数は前年同月と比較して99.6%減少し、これに伴い免税売上額についても同98.1%減と大きく減少した。

わずかに残っていた日本人客の宿泊需要も減退し、3月を上回る市場の後退が見込まれる

5 月21 日には京都府における緊急事態宣言が解除され、市内の多くの観光施設や社寺、そして宿泊施設が拝観や営業を再開しはじめている。6 月19 日以降は、全国で、都道府県を跨ぐ移動、旅行が解禁されることが予定されており、関西圏など比較的京都に近い範囲から、宿泊需要が徐々に増加していくことが見込まれる。新型コロナウイルスの感染拡大は予断を許さない状態ではあるが、4 月が底となり、徐々に京都の観光需要が回復していくことに期待したい。
海外においては、欧米を中心に都市のロックダウンなどは解除されつつあり、中国や韓国では国内旅行の需要が徐々に回復する傾向が報じられている。一方で、日本への入国(旅行)は、航空路線の運航再開や各国間の海外渡航制限、査証無効化の解除などを待つ必要があり、引き続きその動向を注視していきたい。

調査概要

(1) 全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。

※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載

(2) 対象ホテル

  • 56ホテル 11,830室(2020年5月現在)
    ※2020年3月号では59ホテルを対象としていたが、今月は休業中等の理由で回答が難しい施設もあり、回答のあった56ホテルを対象として分析を実施している。
    ※京都市内ホテルの客室数ベースで約4割をカバー(京都市観光協会調べ)
    ※調査結果における前年実績は、今回の調査に合わせて調査対象施設から新たに提供を受けた数値である。
    したがって、前年と本年では対象ホテル数・客室数が異なるため、今回発表の前年数値(2019年4月)は昨年の発表数値とは必ずしも一致しない。※P11の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記56ホテルとは対象が一部異なる。

(3) 分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2020 年4 月1 日~4 月30 日)中、対象ホテルが臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有するホテルが、以下のように営業をしていた場合

➀ 4月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 4月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 4月21日~30日の期間(10日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 20日以上 10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
施設数 13 8 2 33

(参考)56ホテルにおける2020年4月(4月1日~4月30日)の臨時休業状況

(5) その他

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。

ただし、P11のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

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分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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