京都市観光協会データ月報(2020年6月)

UPDATE :
2020. 07. 31
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データ月報

調査結果のポイント

日本人延べ宿泊客数は近畿圏を中心に僅かながら需要回復の兆し

-76.4%

18.3pts

京都市内59ホテルにおける2020年6月の日本人延べ宿泊客数は、前年同月比76.4%減と大きく減衰したが、前月(同94.7%減)と比較すると18.3ポイント高い伸率となった。6月19日以降、全国的に都道府県を跨ぐ移動や旅行も解禁されたこと等に後押しされ、近畿圏を中心に入洛客が増えてきていることなどにより(P17参照)、新型コロナウイルス感染症の影響が顕著に現れ始めた2020年2月以降、前年同月からの減少幅が初めて改善した。

外国人延べ宿泊客数は3ヶ月連続でほぼゼロに近い数字に

-99.9%

外国人延べ宿泊客数は、前年同月比99.8%減の510人となり、全ての国・地域において外国人の宿泊がほぼゼロとなる状況が3ヶ月にわたり続いている。一方で、前月2020年5月(183人)と比較すると、約3倍にまで宿泊需要が増加している。国内での都道府県を跨いだ移動が徐々に回復する中で、留学生など国内に長期滞在している外国人の移動が増加したこと等が要因と考えられる。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本において検疫強化、査証の無効化などの措置が続いていることに加えて、多くの国・地域においても国外渡航制限や外出禁止等の措置を継続していることから、京都のみならず日本全体で外国人客の入国はほぼゼロとなる状態が続いている。なお、JNTOの発表によると、6月の訪日外客数(実人数)は前年同月比99.9%減の2,600人となり、9ヶ月連続で前年同月を下回った。
日本人と外国人を合わせた総延べ宿泊客数は同89.3%減となった。前年と比較すると大幅に減少したものの、日本人延べ宿泊客数と同様に、新型コロナウイルス感染症の拡大後初めて、前月よりも増加する傾向を示した。

客室稼働率は3ヶ月ぶりに2桁台に回復

15.5%

9.0pts

客室稼働率は、前年同月を65.3ポイント下回る15.5%となり、2ヶ月連続で前月を上回り、3ヶ月ぶりに二桁台にまで回復した。依然として低い水準ではあるものの、前月と比較して臨時休業するホテルが減少したことで販売可能客室数が増加しているにもかかわらず、客室稼働率は2倍以上となっていることから、市内ホテルへの宿泊需要回復の兆しが見られたと言える。

外国人比率は5ヶ月連続で最低値を更新

0.9%

0.3 pts

外国人比率は前年同月より54.3ポイント低い0.9%となり、5ヶ月連続で単月としての最低値を更新するとともに、調査開始以来初めて1%を下回った。外国人延べ宿泊者数自体は増加したものの、日本人客の需要回復が先行したことで、前月よりも更に低い数値となった。
数値には現れていないが、平日の利用が多い傾向にある外国人の需要がほとんど無くなったことで、土日に需要が集中してしまうという声が多くのホテルから寄せられている。海外需要が回復するまでの期間においては、休日と平日の繁閑差の解消が、極めて重要な経営課題となると考えられる。

客室収益指数(RevPAR)は大幅減が続くが、減少幅はわずかに改善

-85.1%

京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRの調査結果によると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比で80.4%低下するとともに、平均客室単価(ADR)も同23.8%低下し、客室収益指数(RevPAR)は同85.1%減と大幅に下落した。ただし、RevPARの減少幅は2020年3月以降3ヶ月ぶりに▲90%台を脱しており、宿泊需要が回復する兆しが見えている。
他の国内主要都市や多くの世界主要都市においても同様の減衰傾向が続いているが、ADRの落ち込みは、京都が最も小さかった。厳しい状況ではあるものの、京都においては価格のみの競争に奔らず、各施設がブランドや付加価値等を守りながら経営を続けていることが示唆された。

免税売上は大幅減が続くが、総売上は回復傾向

-97.7%

0.8 pts

海外渡航者の入国制限が続いているため、6月の免税件数は前年同月と比較して99.4%減少し、これに伴い免税売上額についても同97.7%減と大きく減少した。一方、通常営業の再開に伴い、日本人を含む総売上は同22.6%減に留まり、下落幅は前月(同71.0%減)より大きく改善した。

7月は日本人客の宿泊需要が高まることが想定されるが、キャンペーンの効果発現には時間がかかるか

7月3日からは、京都市が主導する市民を対象とした宿泊施設の利用促進キャンペーン、7月22日からは国が主導する全国的な観光振興キャンペーン「Go To Travel」が開始されている。日本人客の宿泊需要が高まることが想定される一方、東京など大都市を中心に、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加しており、今後の経過によってはこれらの消費喚起施策の効果が十分に現れるまでに時間がかかることも考えられる。

旅行意欲は高まっているが、感染第2波を警戒して直前まで予約が行われない傾向

海外においては、7月14日時点で世界感染者数が1,300万人を超えるなど、全世界的な感染拡大が続いており、スペインやオーストラリアでは、再度の感染拡大による規制強化も進んでいる。一方で、域内の移動制限を緩和し、観光の振興を図るなど、経済活動の回復に舵を切る国も増えている。
交通機関は陸路を中心に前年並の運行状況に回復しつつあり、宿泊施設も9割程度が営業を再開している。とくにお盆期間の旅行に関しては、検索行動は増加しているものの、実際の搭乗や予約率は依然として低水準が続いている。感染第2波を警戒しているためか、情報収集は行うもののギリギリまで予約は行わない人が多く、事業者側にとっては収益の予測が難しい状況が続く。なお、宿泊と比べて航空券の検索・予約行動の回復が遅れていることから、空路での移動を伴わない近場の旅行が好まれていると考えられる(P18参照)。

調査概要

(1) 全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。

※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載

(2) 対象ホテル

  • 59ホテル 12,342室(2020年6月現在)
    ※京都市内ホテルの客室数ベースで約4割をカバー(京都市観光協会調べ)
    ※調査結果における前年実績は、今回の調査に合わせて調査対象施設から新たに提供を受けた数値である。
    したがって、前年と本年では対象ホテル数・客室数が異なるため、今回発表の前年数値(2019年6月)は昨年の発表数値とは必ずしも一致しない。※P11の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記59ホテルとは対象が一部異なる。

(3) 分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2020 年6 月1 日~6 月30 日)中、対象ホテルが臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有するホテルが、以下のように営業をしていた場合

➀ 6月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 6月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 6月21日~30日の期間(10日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 全日休業
(30日間)
20日以上
30日未満
10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
施設数 18

(30.5%)

0

(0.0%)

3

(5.1%)

2

(3.4%)

36

(61.0%)

(参考)59ホテルにおける2020年6月(6月1日~6月30日)の臨時休業状況

(5) その他

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。

ただし、P11のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

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分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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