京都市観光協会データ月報(2020年8月)

UPDATE :
2020. 09. 30
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データ月報

調査結果のポイント

日本人延べ宿泊客数は7月に引き続き前年同月比の約5割の水準

-48.2%

1.9pts

京都市内63ホテルにおける2020年8月の日本人延べ宿泊客数は、前年同月比48.2%減、前月からは1.9ポイントの回復となった。7月22日から開始されたGo Toトラベルキャンペーンによる需要喚起の取組等が追い風となり、3ヶ月連続で前月からの改善となった。しかしながら、7月下旬から8月上旬にかけて京都市における新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加したこと等もあり、改善は小幅にとどまり、需要の回復に歯止めがかかったといえる。

外国人延べ宿泊客数は5ヶ月連続でほぼゼロに近い数字が続く

-99.8%

外国人延べ宿泊客数は、前年同月比99.8%減の610人となり、全ての国・地域において外国人の宿泊がほぼゼロとなる状況が5ヶ月にわたり続いている。日本全体でも同様の状態が続いており、JNTOの発表によると、8月の訪日外客数(実人数)は前年同月比99.7%減の8,700人となり、11ヶ月連続で前年同月を下回った。日本人と外国人を合わせた総延べ宿泊客数は同74.7%減となり、3ヶ月連続で改善している。
外国人比率は前年同月より50.9ポイント低い0.4%となり6ヶ月連続で単月としての最低値を更新した。

日本人客の需要回復にともない客室稼働率は4ヶ月連続で改善

22.8%

2.7pts

客室稼働率は、前月(20.1%)よりも2.7ポイント高い22.8%となった。休業するホテルも少なくなり、販売可能客室数は2020年3月以来5ヶ月ぶりに前年同月を上回った。客室稼働率の前月からの改善は4ヶ月連続で続いているが、外国人需要が消滅していること等から前年同月と比較すると60.5ポイント低い値であり、依然としてホテルにとって厳しい水準が続いている。

客室収益指数(RevPAR)は4ヶ月連続で減少幅が改善

-75.4%

1.6pts

京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRによると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比72.0%減、平均客室単価(ADR)が同12.2%減となったことで、客室収益指数(RevPAR)は同75.4%減少した。調査対象の他都市と比較すると、ADRの減少幅は3ヶ月連続で最小となっており、京都においては各施設がブランドを守りながら経営を続けていることが示唆された。

免税売上は大幅減が続き、総売上は前月並の水準

-98.2%

0.2 pts

外国人の入国制限が続いている中、8月の免税件数は前年同月と比較して99.6%減少し、これに伴い免税売上額も同98.2%減と低迷した。また、京都駅観光総合案内所の相談者数も前年同月から88.7%減となった。

ビッグデータによると、8月の来訪者者数は横ばいが続き、目立った増加は無かった

ビッグデータをもとにして京都市が発表する8月の京都駅への来訪者数は、6月末に急増した際の水準を上回ることなく横ばいが続き、お盆期間も目立った増加は無かった 。

9月以降は需要回復の兆しがあり、今後に期待

Go To トラベルキャンペーン等による旅行需要の喚起が続く中、京都市内における新型コロナウイルスの感染者数が8月よりも減少していること等が追い風となり、9月以降も日本人宿泊客数は引き続き回復することが予想される。しかしながら、需要回復の立ち上がりが遅れている施設も多いことが想定され、依然として多くの宿泊施設にとって非常に厳しい状況が続いていると言える。
とくに、9月の連休期間(シルバーウィーク)においては、市内の一部の観光地では前年同期を上回る賑わいが観測されている。また、11月後半の連休期間の客室販売価格の水準は、9月の連休期間を上回る出足となっている。今後、この好況があらゆる業態・職種にまでいきわたるようになるためにも、こうした傾向が安定して続くことを期待したい。

世界的に移動の再開を検討する動きがあるものの、航空路線の回復は伸び悩み

全世界の感染者数が3,000万人を超え、新型コロナウイルス感染症は世界中で猛威を振るい続けている。一方で、国連世界観光機関(UNWTO)による9月10日の発表によると、世界のすべての目的地の53%にあたる115の国と地域が、9月1日までになんらかの旅行制限を緩和しており、全世界的に、国・地域間の移動を回復させる舵取りが進んでいることが伺える。日本政府も、10月以降は徐々に全世界からの新規入国受け入れを一部再開する方向で調整をはじめている。一方で、各方面の航空便の運航状況の回復は8月以降伸び悩んでおり、移動の自由度が低い状態が続いていることには留意が必要である。

調査概要

(1) 全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。

※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載

(2) 対象ホテル

  • 63ホテル 13,208室(2020年8月現在)
    ※京都市内ホテルの客室数ベースで約4割をカバー(京都市観光協会調べ)
    ※調査結果における前年実績は、今回の調査に合わせて調査対象施設から新たに提供を受けた数値である。
    したがって、前年と本年では対象ホテル数・客室数が異なるため、今回発表の前年数値(2019年8月)は昨年の発表数値とは必ずしも一致しない。※P10の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記63ホテルとは対象が一部異なる。

(3) 分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2020 年8月1 日~8月31 日)中、対象ホテルが臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有するホテルが、以下のように営業をしていた場合

➀ 8月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 8月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 8月21日~31日の期間(11日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 全日休業
(31日間)
20日以上
30日未満
10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
施設数 5

(7.9%)

0

(0.0%)

1

(1.6%)

0

(0.0%)

57

(90.5%)

(参考)63ホテルにおける2020年8月(8月1日~8月31日)の臨時休業状況

(5) その他

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。

ただし、P10のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

調査レポートの詳細な分析結果(PDF)のダウンロード、また各種データを自由に加工・分析していただける
分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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