京都市観光協会データ月報(2022年4月)

UPDATE :
2022. 05. 30
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データ月報

調査結果のポイント

4月の客室稼働率は47.1%と2か月連続で40%を超えたが、昨年の紅葉シーズンの水準には届かず

47.1%

26.1pts

前年同月差

京都市内主要ホテル108施設における2022年4月の客室稼働率は47.1%となった。前月(3月)の45.0%からは2.1ポイント増、前年同月の21.0%からは26.1ポイント増であった。1か月を通して行動制限が解除されたのは昨年12月以来の4か月ぶりである。3月に引き続き、桜を目当てにした観光需要を背景に、2か月連続で40%を超える水準が続いたものの、昨年の紅葉シーズン(11月、12月)のような50%を超える稼働には至らなかった。また、コロナ禍前である2019年同月の89.9%からは42.8ポイント減となり、外国人不在の影響は依然として大きい。

4月の日本人延べ宿泊数の2019年同月比は、コロナ禍以前からの対象施設のみで比較すると11.2%増

+11.2% 

4月の日本人延べ宿泊数は398,534泊となり、前月(3月)の418,489泊からは4.8%減となった。調査対象施設数の変化を考慮しない場合、前年同月比は159.8%増、2019年同月比は62.5%増となった。コロナ禍以前から調査対象かつ開業済みであった施設のみ(51施設)で比較すると、前年同月比は160.3%増、2019年同月比は11.2%増となった。コロナ禍前との同月比がプラス(11.2%増)となるのも、昨年12月以来の4か月ぶりである。

外国人入国者が増え始めているが、観光目的での入国が制限されているため、京都への影響はほとんど無い

-99.3%

外国人延べ宿泊数は前年同月比251.6%増、2019年同月比99.0%減(コロナ禍前からの調査対象施設のみで比較すると99.3%減)となり、外国人宿泊客がほぼゼロの状態となって2年1か月が経過した。日本政府観光局(JNTO)の発表によると4月の外国人入国者数は139,500人と前月の66,100人から倍増したが、京都市内主要ホテルでの外国人宿泊客の実人数は1,659人と前月の1,560人からは微増に留まった(外国人宿泊客には在留外国人が含まれているため、入国者数の内数とはならない)。観光目的の入国が制限されているため、観光目的での来訪者が比較的多い京都においては、外国人需要が回復する兆しはまだ表れていないといえる。

平均客室単価、客室収益指数ともに前年同月から上昇も、コロナ禍前を大きく下回り続けている

6,510

148.7%

前年同月比

4月の平均客室単価は13,821円となり、前年同月の12,464円からは10.9%増、2019年同月の22,519円からは38.6%減となった。客室収益指数(平均客室単価に客室稼働率を乗じた指標で、1室あたりの売上高に相当する)は6,510円となり、前年同月の2,617円から148.7%増、2019年同月の20,245円からは67.8%減となった。稼働率、客室平均単価、客室収益指数と全ての指数が前年同月から上昇したとはいえ、コロナ禍前を大きく下回る状況が続いている。

4月の旅館の客室稼働率は30.4%となったが、コロナ禍前を大きく下回った

30.4%

26.5pts

前年同月差

市内主要旅館27施設における稼働率は30.4%となり、前月(3月)の27.9%から2.5ポイント上昇した。前年同月の3.9%からは26.5ポイント増となり大幅に回復したものの、コロナ禍前2019年同月の79.2%との乖離は大きい。例年であれば相当の需要が見込まれる桜の季節としては低水準であり、厳しい経営環境が続いているといえる。

月間20日以上休業した施設は14.8%、販売可能客室数は本来の約2割減まで回復した

14.8%

調査対象施設27軒における月間20日以上休業した施設は14.8%となり、販売可能客室数は本来販売可能であったと考えられる客室数(月間延べ約2万室)の81.7%であった。まん延防止等重点措置が解除され、全日休業、一部休業する施設が少なくなった。

「行こう指数」は2か月連続でコロナ禍前の平均を上回る状態が続く

112.7

45.3pts

前年同月差

京都観光への訪問意向「行こう指数」の2022年4月の値は112.7(2019年の平均値を100とした場合)となり、前月(3月)の127.3からは14.6ポイント減、前年同月の67.4からは45.3ポイント増となった。まん延防止等重点措置が解除された反動で、京都観光の潜在需要がコロナ禍前を上回る水準が続いている。

京都市内における宿泊施設の施設数は前年同月比5.8%減、客室数は前年同月比2.9%増となった

3,565施設

5.8%

前年同月比

2022年4月末時点での京都市内における営業許可を受けた宿泊施設の施設数は、15件開業、17件廃業、差し引き2件減少して、3,565件となり、前年同月の3,784件からは5.8%の減少となった。総客室数(推計)は58,380室となり、前年同月の56,757室から2.9%の増加となった。

日帰り客を含めた市内の人流動向は前月(3月)を上回り87.9となるも、コロナ禍前の水準には満たず

87.9

28.6pts

前年同月差

2022年4月の来街者指数は87.9(2019年の平均値を100とした場合)となり、前年同月の59.3を28.6ポイント上回った。前月(3月)の80.3からも、7.6ポイント増となった。コロナ禍前である2019年同月の113.3からは25.4ポイント減となった。

市内4百貨店の総売上額は前年同月比26.8%増、前月(3月)の上昇幅も上回った

  

4月の市内4百貨店の総売上額は前年同月から26.8%増となった。前月(3月)は1.6%増であったが、これを25.2ポイント上回った。しかしながら、コロナ禍前の2019年同月との比較では18.5%減であり、外国人不在の影響は大きい。また水際対策の緩和で免税売上額の前年同月比は72.7%増となったが、2019年同月比では94.7%減となり、依然として低水準である。

観光案内所の相談者数は前月から微増したが、コロナ禍前を大きく下回る水準が続く

4月の相談者数は、前月(3月)から5.3%増となったものの、コロナ禍前の2019年同月比71.5%減となり、外国人観光客不在の影響は大きい。

5月の稼働率は4月をわずかに上回る程度に留まり、6月以降は下落する見込み

主要ホテル客室稼働率の4月時点の予測値は、5月が52.5%、6月は34.8%、7月は29.9%となった。5月は3年ぶりに行動制限の無いゴールデンウイークで賑わった一方で、中旬以降の需要が伸び悩んでいることで、月間稼働率は4月をやや上回る程度に留まる見込みである。コロナ禍の影響で予約が間際化しているためか6月以降の予測値は低調であるが、今年は例年通り修学旅行が催行されていることに加えて、6月1日から「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」の対象が近隣府県民にまで拡大されること、7月には3年ぶりの祇園祭山鉾巡行の実施が発表されたことなどにより、すでに一部の日程では予約が埋まりつつあり、稼働率は上昇する可能性が高い。

全世界における国際旅行に関する潜在需要が急回復しており、受け入れ態勢を本格的に整えていく必要がある

  

Googleによると、全世界における国際旅行に関する4月の潜在需要(航空および宿泊需要の検索動向の指数)は、コロナ禍前の2019年同月比で45.5%増となり、各国の入国制限緩和により旅行需要が急激に高まっていることがわかった。日本でも徐々に規制が緩和されており、6月10日から段階的に観光目的の入国受け入れを再開すると発表された。しかしながら、ウクライナの情勢次第では、原油価格と欧米諸国の航空ルート変更に伴う航空運賃の上昇など回復に歯止めがかかる可能性もある。当面は、日本政府の水際対策方針と各地域の出入国状況などを注視しながら、受け入れ態勢を本格的に整えていく必要がある。

参考)新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等の期間(京都・東京)

出所)京都市HP、東京都HP、GoToトラベルHP等を参考に京都市観光協会で作成

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

調査レポートの詳細な分析結果(PDF)のダウンロード、また各種データを自由に加工・分析していただける
分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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※データを利用する際には、必ず出典と引用元URLの明記をお願いします。
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調査仕様

全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義しています。

※過去の調査結果はこちらからご覧ください。

調査対象

 

2022年4月時点 ホテル 旅館
施設数 客室数 施設数 客室数
調査対象 108 18,409 27 674
市内全体 309 36,507 367 5,311
カバー率 35.0% 50.4% 7.4% 12.7%
  • 平成30年の旅館業法改正にともないホテル・旅館の区分が廃止されたため、市内全体におけるホテルの施設数および客室数は、区分が廃止される直前までの旅館の数値に変動が無いものと仮定して算出している。
  • 前年と本年では対象施設数が異なる場合があるため、今回発表する前年の数値は昨年の発表値と異なる。
  • 客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記ホテル施設数とは対象が一部異なる。

用語説明

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有する施設にて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2022年4月1日~4月30日)中、対象施設が臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出します
例)100部屋を有する施設が、以下のように営業をしていた場合

➀ 4月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 4月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 4月21日~30日の期間(10日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 全日休業
(30日間)
20日以上
30日未満
10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
ホテル施設数 2

(1.8%)

1

(0.9%)

0

(0%)

1

(0.9%)

104

(91.7%)

旅館施設数 2

(7.4%)

2

(7.4%)

3

(11.1%)

3

(11.1%)

17

(63.0%)

 

(参考)調査対象ホテルにおける2022年4月(4月1日~4月30日)の臨時休業状況

参考 京都市における観光調査関係の資料一覧

京都市における観光調査関係の参考資料を一覧化しております。
人流データ、京都観光総合調査、経済全般に関するデータ、宿泊施設数など随時更新しております。

以下からご確認ください。

注意事項

京都市観光協会データ月報は、調査対象施設のみなさまのご協力、ならびに京都市観光協会会員および京都文化交流コンベンションビューロー賛助会員からの会費をもとに運営しております。

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。ただし、P15のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。

各種数値は、データ提供元である宿泊施設等からの訂正等により、後日予告なく修正される場合があります。原則として、後から発表される数値を正しいものとして利用いただくようお願いいたします。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなります。

CONTACT

本件に関するお問い合わせ先

公益社団法人 京都市観光協会

075-213-0070

企画推進課 神田、堀江