2020年 年末年始の京都市内観光の動向に関する臨時調査結果

UPDATE :
2021. 01. 12
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データ月報

SUMMARY

京都市内35ホテルにおける年末年始の営業状況は客室稼働率が31.1%となり、前年から44.9ポイントの減少。7月のGoToトラベルキャンペーン開始以降、キャンペーンを利用した宿泊が占める割合は約8割となり、多くの方がキャンペーンを利用して入洛されたと考えられる。一方、12/14にキャンペーンの一斉停止が発表されたことによって年末年始の予約の6割以上がキャンセルとなっており、一斉停止が宿泊施設に与える影響は極めて大きいものとなった。また、スマートフォンの位置情報に基づくデータによると、市内主要観光地の人出は、前年と比べて6割前後の減少となり、宿泊客以外の需要も大きく落ち込む結果となった。

公益社団法人 京都市観光協会(DMO KYOTO)では、京都市内の主要ホテルにおける国・地域別の宿泊状況等、京都観光に関するマーケティングデータを調査し、「データ月報」として毎月発表しております。このたび、年末年始の動向に関する臨時調査を行いましたので、結果をお知らせします。

市内主要ホテルの経営指標について

  • 京都市内ホテル(35施設)における、年末年始(2020年12月25日~2021年1月3日)の客室稼働率は31.1%となった。60%を超えていた11月の状況と比較すると、およそ半分にまで落ち込んだことになる。前年同期間(2019年12月27日~2020年1月5日)の客室稼働率(76.0%)からの減少幅は44.9ポイントであり、半分以上の減少となった。
  • 平均客室販売単価は18,228円であり、前年同期間の22,000円からは17.1%減となった。また、客室収益指数(単価と稼働率を乗じた経営指標)の前年同期比は67.1%減となり、宿泊施設の経営に与える影響は深刻である。
  • 外国人による利用割合は2.5%に留まった。前年同時期は46.7%を占めていたことから、外国人需要の消失の影響は極めて大きいと言える。

GoToキャンペーンの影響について

  • 2020年7月22日のGoToキャンペーン開始以降、調査対象施設において販売された客室のうち、キャンペーンの適用を受けた割合は77.1%と大きな割合を占めており、キャンペーンはこれらの施設にとって大きな影響を与えたと考えられる。
  • 12月14日にキャンペーンの一斉停止が発表されたことで、調査対象施設においては、対象期間(12月28日~1月11日)に申し込まれていた予約の63.8%がキャンセルとなった。対象期間外(キャンセル料の補償が発生しない期間)であってもキャンセルが発生している模様であり、キャンペーン停止の影響は数値以上の大きさであると推察される。仮に、これらのキャンセルが発生しなかった場合、客室稼働率は前年同期に匹敵する水準であったと想定できる。
  • 宿泊施設側でよく発生したトラブルとして寄せられた意見は以下のとおり。
    • 顧客が知っている以上の情報をホテル側で事前に入手できないため、顧客からの問い合わせに十分な対応ができなかった
    • 旅行会社や予約サイトによって一斉停止に伴う変更や対応が異なり、混乱が生じた
    • クーポンの回収やキャンセル補償の精算対応に手間取った
    • 対象期間をまたがった日程で宿泊を予定されていたお客様への対応に手間取った
    • キャンペーンが停止になった際の追加精算や地域共通クーポンの回収についての説明が困難であった

市内主要地点における人出の状況

  • スマートフォンの位置情報に基づくデータによる年末年始の人出を前年同時期と比較すると(外国人は含んでいない)、清水寺周辺では前年から60.0%減、嵯峨嵐山では59.3%減、伏見稲荷周辺では68.4%減と、6割前後の減少となった。
  • いずれの地点においても、京都市内からの来訪者が占める割合が増加する一方で、遠方からの来訪者が占める割合が減少する傾向となった。12月28日からのGoToトラベルキャンペーン全国一斉停止に先駆けて、旅行の自粛が要請されていた大都市(札幌市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市)の居住者の増減や構成比は、他地域からの来訪者と比較して目立った差は認められなかった。

清水寺周辺における来街者の居住地別分析(集計対象期間は上のグラフと同じ)

来街者の
居住地
構成比
(本年)
構成比
(前年)
構成比の
前年差
実数前年比
京都市内 28.3% 16.1% 12.2%  ▲32.5%
京都府 4.4% 3.1% 1.3%  ▲45.4%
近畿圏 34.3% 33.9% 0.4%  ▲61.1%
大都市 20.0% 18.0% 2.0%  ▲57.3%
その他 13.0% 28.9%  ▲15.9%  ▲82.7%
全国 100.0% 100.0% ▲61.5%

 

嵯峨嵐山における来街者の居住地別分析(集計対象期間は上のグラフと同じ)

来街者の
居住地
構成比
(本年)
構成比
(前年)
構成比の
前年差
実数前年比
京都市内 37.7% 32.5% 5.2%  ▲53.3%
京都府 3.0% 2.1% 0.8%  ▲43.7%
近畿圏 29.2% 21.9% 7.2%  ▲46.4%
大都市 13.7% 15.6%  ▲1.9%  ▲64.6%
その他 16.5% 27.8%  ▲11.3%  ▲76.1%
全国 100.0% 100.0% 0.0%  ▲59.7%

 

伏見稲荷周辺における来街者の居住地別分析(集計対象期間は上のグラフと同じ)

来街者の
居住地
構成比
(本年)
構成比
(前年)
構成比の
前年差
実数前年比
京都市内 24.4% 16.5% 7.9%  ▲53.4%
京都府 5.6% 7.8%  ▲2.2%  ▲77.3%
近畿圏 43.1% 43.8%  ▲0.7%  ▲69.0%
大都市 16.6% 16.4% 0.2%  ▲68.1%
その他 10.3% 15.5%  ▲5.2%  ▲79.1%
全国 100.0% 100.0% 0.0%  ▲68.5%

 

来街者数の定義は、集計対象エリアにおいて居住または勤務していないと判定された人が、当該エリアにおいて60分以上滞在した場合の数。(つまり、当該エリア外に居住する市民なども含まれている)。なお、外国人は含まれていない。

近畿圏に含まれる地域は「滋賀県」「大阪府」「兵庫県」「奈良県」「和歌山県」とする

大都市の定義は「札幌市」「東京都」「名古屋市」「大阪市」「広島市」の5都市。当該地域の居住者は、全国に先駆けて行の自粛要請が行われている。

グラフにおける期間全体の前年比とは集計方法が異なるため、値は一致しない。

KDDI社のスマートフォン位置情報をもとにした分析サービス(KDDI Location Analyzer)を利用して、京都市観光協会において集計

本資料の内容を引用する場合は、「出典:京都市観光協会 2020年 年末年始の営業状況に関する臨時調査」と明示してください。

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marketing@kyokanko.or.jp

担当:堀江、水本、嵯峨

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